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【胸がじんわりと温かくなる小説】森沢明夫著「青い孤島」あらすじと感想

青い孤島あらすじ

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小島(こじま)佑(たすく)は、初対面の人に「あれ?どこかで会ったことある?」と必ずといっていいほど言われてしまう「誰よりも、どこにでもいそうな顔」をしている男性。

ある日、会社の社長から「コジマタスクくん、小島を助けるまで、ずっと島にいてもいいからな」と会社の誰もがやりたくない小さな島を活性化するための仕事を言い渡される。

佑は、会社の社長にもいいように使われ、同僚たちには冷笑を向けられる日々。完全に会社で使えない奴認定されている佑は、会社への小さな復讐をすることを決める。それは、会社の出張費を使って小島へ向かい、仕事をしてますと適当に電話では伝えて、バカンス気分でも味わってやるというほんとうに小さな復讐だった。そして帰ってきたら辞表を出せばいい、そう思い、島へと向かった。

佑が向かったのは、「子鬼ヶ島」という小さな島。
佑は、子鬼ヶ島に向かう船の中で、金髪の美少女るいるいさんと出会う。話を聞けば、なんとるいるいさんも子鬼ヶ島に仕事のために行くという。

子鬼ヶ島は、よほどの島旅マニアでもない限りそうそう行くことのない「キング・オブ・僻地」と称される島で、島民の数はわずか一九九人人しかおらず、商店は一軒のみ、観光客もほとんど行かない島。

そして、佑とるいるいさんが降り立ったこの島は、東と西で住民が対立しているということを知る。
島の対立は、自分たちがうまれてすらいなかった古い時代のひとたちがおこしたいざこざから始まっている。

みんな「愛し合う世界」の方が幸せだと知っている。
けれど、周りと異なった意を唱えると、たちまち今まで身内だった人たちに白い眼を向けられてしまう。


「同調圧力」という見えないものが支配している小さな島で、佑とるいるいさんは、どう島を変えていくのか、果たして変えていけるのか――――。

同調圧力、居場所のない世界……。

多くの人の心にあたたかい言葉を残してくれる小説。

「青い孤島」を読んだ感想 

森沢明夫先生のレトロピュアな世界観が好き

森沢明夫先生の小説を読んでいると、80年代のエモーショナルな感じがして、胸がじゅわぁっとあったかくなります。
(私は、90年代生まれなので、80年代を知っているわけではないのですが、母に貸してもらった少女漫画を読んでいるときや松田聖子さんの歌を聴いているときと同じような感覚になります)

「青い孤島」は恋愛小説!って感じではないのですが、恋愛も絡んでいて、その恋愛は、初恋を思い出すようなピュアさを含んでいるような気がします。
森沢明夫先生の描く恋愛は、読んでいて「がんばれ!」ってなっていることが多いです(笑)

途中から読む手が止められなかった!

こう書くと、最初の方はそうでもないのかと言われそうですが(笑)、そんなことはないです!最初の方も面白いです!!
ただ、第四章の「人生はゲーム」(全部で八章あります)からが、もうめちゃくちゃ面白い!!

超絶イケメンの翔くんの秘密が明らかになったり、るいるいさんがある作戦を考えて、それをみんなで実行に移しにいったり、佑の心がだんだんと変化してきて……。
いろんな謎が散りばめてあり、それがひとつずつ明らかになっていくので、とにかくめちゃくちゃ面白いです!

※ここからは少しのネタバレを含みます

私も絶世の美女・るいるいさんに騙された!

佑、るいるいさんを含む地球防衛軍が、子鬼ヶ島のためにある作戦を決行するのですが、途中から佑の聞いていた作戦と全然違う方向へと作戦が進んでいきます。

え?どうなる、どうなるの!?

佑視点で全部書かれているので、一緒にいる花蓮ちゃんの表情も佑視点なわけであって……。
見事、してやられました(笑)

けれど、納得しました!なるほど、だからるいるいさんは作戦変更をしたわけだと、スッキリしました。

孤独に気づく佑、孤独じゃなくなっていく佑

俺は、あまりにも「ひとり」すぎたのだ。「ひとり」すぎたからこそ、逆に自分が「孤独」であることに気づけなかったのかもしれない。そして、「孤独」に気づけなかったからこそ、七年ものあいだ、あの会社に通い続けてしまったのではないか。

しかし、この島に来たことで、俺は変わった。

俺はいま、自分が「孤独」であるということに気づいているのだから。

光がなければ影が存在できないように、そもそも周囲に誰もいない世界では、「孤独」という概念すら存在し得ない。

でも、この島に来た俺は、自分の「孤独」に気づける人間になれた。周囲に誰かがいてくれる人間になれたのだ。

【青い孤島】第五章「心までイケメン」より

ここを読んで、はっとなりました。

そうだ、孤独に気づいている私は、孤独なわけじゃないのだと。
私は学生の頃、いじめを受けていたのですが、あのときはたしかに佑と同じように「孤独」であることにすら気づけていませんでした。

このあと、佑は、どんどん変わっていきます。誰かの手ではなく、自分の手で。
そこに私はかなりしびれました。

ひとりで同調圧力に対抗する強さは私にはないけれど、周りに力を貸してくれる人がいたら、私も対抗できるかもしれない。

居場所を作ろうと努力しなくても、なにかをやってみる。チャレンジしてみる。
そしたら、自然とそこに「居場所」というものができているのかもしれない、そう思えました。

あたたかい気持ちにしてくれて、大丈夫だよ、とぽんと優しく背中を押してくれる森沢明夫先生の小説は最高です!!

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